今回読んだ本
※著者の方がPodcastで本を紹介しています
サマリ
想定読者は、リーダー・マネージャー・ファシリテーターなど、チームメンバーとの対話が重要な役回りの人で、 読むと、チームメンバーの本音を引き出して建設的に対話・会議ができるような問いかけ作法について、具体的な実践例を交えながら学べる本です。
個人的に対話では論理性を重視しており「相手の感情をいかに刺激するか」は、そこまで重視していませんでした。
相手の懐に踏み込むような感情的対話が苦手というのもありますが、この本では感情的アプローチも具定例踏まえて紹介されおり、非常にありがたいです。
- 問いかけとは
- 相手に質問を投げかけ感情を刺激し反応を促進する行為
- 未知数を照らす「ライト」の当て方によって相手の反応が変化し、「見立てる」、「組み立てる」、「投げかける」のサイクルを回すことで効率的に問いかけができる
- 問いかけの基本定石
- 相手の個性を引き出し、こだわりを尊重する
- 適度に制約をかけ、考えるきっかけを作る
- 遊び心をくすぐり、答えたくなる仕掛けを施す
- 凝り固まった発想をほぐし、意外な発見を生み出す
- 問いかけのサイクル
- 見立てる:チームとメンバーの状態を良く観察し「見立てる」
- 組み立てる:見立てに従って、望ましい変化を生み出す具体的な質問を「組み立てる」
- 投げかける:相手の注意をきちんと引き、意図が正しく伝わるように、細かな表現を調整して質問を放つ。アフターフォローをする
以下では問いかけのサイクルについて概要を示します。
問いかけのサイクル「見立てる」
問いかけの最初のサイクルは観察です。
以下着眼点にで相手の「こだわり」、「とらわれ」を発見します。
発見後の具体的な深堀りは「見立てる」の章で説明されています。
- 耳を傾ける
- 何かを評価する発言
- →何かにとらわれていないか?
- →こだわりはどこにあるのか?
- 未定義の頻出キーワード
- →こだわりはどこにあるのか?
- →ごだわりはずれていないか?
- 目を向ける
- 姿勢と相づち
- →何かを我慢していないか?
対話の場で直接観察する他に、会議の目標設定などの事前整理も「見立てる」に含まれます。
これは、一般的にいわれる「会議の準備をしっかりやろうね」ということです。
- 見立ての三角モデルで「必要な変化」を見定める
- 場の目的:MTGのゴール
- 見たい光景:チームメンバーがどのような状態になっているのが望ましいか
- 現在の様子:チームメンバーの現在の状態
- 場の目的のパターン
- 情報共有
- すり合わせr
- アイディア出し
- 意思決定
- フィードバック
問いかけのサイクル「組み立てる」
具体的な手順が以下のように紹介されていました。
私は「方向性の調整」、「主語レベルの調整」などは良くやりますが、やっていないものも紹介されていたので参考になりました。
- 未知数を決める
- 何を明らかにするための質問か、相手に何を尋ねたいのかを定める
- 方向性を調整する
- 主語、時間軸などを定める
- 制約をかける
- 相手の意見を引き出しやすくするため制約をかける
- 主語レベルの調整する
- (抽象度:低)個人 - チーム - 組織 - 社会(抽象度:高)
特に、部下や大きく立場が異なる人との対話で「制約をかける」ことで相手も答えやすくなりそうなので、以下テクニックは今後使っていきたいです。
制約をかけるテクニック
- トピックを限定する → 思考の焦点化
- 形容詞を加える → 内省と対話を促す
- 範囲を指定する → 過度な発散を防ぐ
- 答え方を指定する → 発散と収束をサポートする
「見立てる」で発見した「こだわり」、「とらわれ」に対してどう問いかけを組み立てるかも、体系的に紹介されていました。
カテゴリごとに具体例も多く紹介されており、すぐにでも実践で使えそうです。
特に「仮定法」は部下の視座を上げて対話の幅を拡げるのに有効な手立てだと思います。
- フカボリモード(こだわりを深堀り、根底の価値観を探るモード)の質問の型
- 素人質問:みんなの当たり前を確認する
- 素朴は質問をあえて空気を読まずにぶつける(自分の意見を添える)
- ルーツ発掘:相手のこだわりの厳選を聴き込む
- 真善美:根底にある哲学的な価値観を探る
- ユサブリモード(とらわれを揺さぶり、新しい可能性を探るモード)の質問の型
- パラフレイズ:別の言葉や表現に言い換えを促し共通言語を再定義する
- 仮定法:仮想的な設定によって視点を変える
- バイアス破壊:特定の固定概念に疑いをかける
- 山型/谷型のプロセス
問いかけのサイクル「投げかける」
会議中に唐突に自分に話題が振られて「えぇ!自分ですか!?質問なんだっけ??」のようなケースはアルアルだと思います。
本章では、対話に参加しているメンバーが、適切なタイミングで対話に集中できるようなテクニックが紹介されています。
相手を対話に集中させるために相手の注意を引く具体的なアプローチ
プッシュ型 プル型 頻繁に使いやすい 予告 事前に伝えておく 共感 相手の心境を代弁する たまに使うと効果的 煽動 前提を大袈裟に強調する 余白 あえて間を演出する
言葉の表現の調整方法も多岐にわたり紹介されていました。
一部使ってはいるものの、全く使っていない方法もあったので、取り入れていきたいです。
- 光の量を増やす:質問の前提や特定箇所の印象を強める
- 倒置法、誇張法、列挙法、対照法
- 光の色を変える:質問の意味を拡げ、イメージをふくらませる
- 比喩法、擬人法、共感覚法、声喩法(オノマトペ)
- 光を和らげる:質問の言葉のニュアンスをぼやかす
- 緩叙法(二重否定)
- 婉曲法(オブラートに包む)
問いかけた直後のアフターフォローについてのノウハウが記載されています。
意見が出ない場合のフォローやっていますが、意見が出る場合はあまり意識していませんでした。
今後は、部下と会話する機会に「意見はでるが本音が語られていない」場合を見極めて、ハードルを下げていきたいです。
「懐に飛び込む」は、形式知化が難しいのでしかたがないですが。もうちょっと具体例のバリエーションが欲しかったのです。
質問に答えやすくする足場かけ(アフターフォロー)
初期反応 要因の仮説 アフターフォロー 意見がでない場合 前提の理解が不足している 前提を補足する ※同上 他人事として捉えている場合 意義を補足する ※同上 うまく答えられない場合 ハードルを下げる/手がかりを探す ※同上 質問から逸脱している場合 リマンドする ※同上 フォローで解決できない場合 組み立て直す 意見が出る場合 本音が語られていない場合 ハードルを下げる/懐に飛び込む ※同上 個性のある意見が得られた場合 ポジティブなフィードバックをする
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